横須賀美術館では、2013年11月16日(土)より、大正・昭和戦前期に活動した洋画家・山崎省三を紹介する展覧会「『槐多の歌へる』その後―山崎省三・村山槐多とその時代」を開催いたします。
村山槐多 (1896-1919) は、大正を火だるまの如く駆け抜けた天才画家としてよく知られ、現在も世代を超えて多くの人々の心を惹きつけています。
横須賀に生まれた山崎省三 (1896-1945) は、槐多と同じ年で、貧しくも刺激にあふれた青春をともにした親友でした。満22歳の若さで世を去った槐多のため、遺作展を開催し、詩集『槐多の歌へる』や『槐多画集』の出版に尽力したことは、槐多ファンの間に記憶されています。
その後の山崎は、美術院を脱退した小杉未醒や山本鼎にしたがって春陽会に参加、おだやかな性格をあらわすかのような、簡略で素直なタッチ、味わい豊かな色彩感覚に魅力のある風景画を多く発表しています。いっぽう、山本鼎による農民美術運動や、自由学園における自由画教育にも携わっています。第二の故郷・北海道では、幼なじみの三浦鮮治らと、小樽を中心とした初期北海道画壇をリードしました。1929年にはフランス留学を果たし、沖縄や南方の風景にも画題を拡げていましたが、終戦を目前に、従軍先のハノイで戦病死を遂げています。
本展では、いままで紹介される機会の少なかった山崎省三の画業にあらためて光をあてます。あわせて、村山槐多をはじめ、山崎省三周辺の画家たちの作品を紹介し、彼らの生きた時代をたどります。