「京都・大学ミュージアム連携」は、2012年秋、15ミュージアム合同の展覧会を開催しました。ひとつの地域の大学ミュージアムが、テーマを設定して、そのテーマに合う収蔵品を持ち寄って合同で展覧会を開催するという試みは、乗り越えるべき課題はまだまだあるとはいえ、それなりの成果をあげたと考えています。そして、その成果のひとつが、今回実現することになった、九州の4大学との「連携の連携」です。
「京都・大学ミュージアム連携」の出開帳というかたちで、どこか京都以外の土地で展覧会をしたいという私たちの希望は、九州産業大学美術館の全面的なご協力により実現しました。ここに、「京都・大学ミュージアム連携」実行委員会代表として深く感謝の意を捧げたいと思います。
教育・研究という大きな目的のもとでそれぞれの個性を競い合う大学ですが、大学ミュージアムもまたそれぞれの大学のカラーを反映して多彩です。今回の企画により、「宝箱」がより一層大きく豪華なものになったと思います。ひとりでも多くの皆様に、この2013年度版「大学は宝箱」を実感していただき、大学や大学ミュージアムをすこしでも身近なものに感じていただければ、それが一番の喜びです。
京都・大学ミュージアム連携実行委員会委員長
京都工芸繊維大学美術工芸資料館館長
並木 誠士
ユニバーシティ・ミュージアムは、大学知の集積の場であり、大学史や大学の今(=教育研究の成果)を広く公開する場、またそれらを持って社会と交流する場です。
こうした実証的な学問を支える意味において、欧米では古くからユニバーシティ・ミュージアムが大学に不可欠なもの(最古例は1534年設置のイタリア、ピサ大学植物園)とみられてきました。
わが国をみると、1996年1月、学術審議会学術情報資料分科会学術資料部会「ユニバーシティ・ミュージアムの設置について(報告)」で、ユニバーシティ・ミュージアムを研究教育の拠点であるとともに「『社会に開かれた大学』の窓口として展示や講演会等を通じ、人々の多様な学習ニーズにこたえることができる施設でもある」と定義して以来、1996年に東京大学総合研究博物館、1999年に北海道大学総合博物館、東京藝術大学美術館が開館し、現在では、全国に280を超える多彩な館種が存在しています。
これまで、それらはとかく個別な活動を続けてきましたが、2011年度から始まった「京都・大学ミュージアム連携実行委員会」の取り組みは、大学の特色ある学術標本を地域社会に公開する画期的な機会となりました。そして今年度は、展覧会を通じて京都と九州が地域を越えたネットワークを構築するという新たな機能を付加することができました。
「おいでやす」「ようきんしゃったね」という言葉が行き交う展示空間で、京都・九州それぞれの大学のお宝をご堪能ください。
九州産業大学美術館教授
緒方 泉