現代でも高い人気を誇るチェコのモラヴィア出身の画家、アルフォンス・ミュシャ(1860-1939)。挿絵画家として出発したミュシャは、1894年に女優サラ・ベルナール主演の《ジスモンダ》のポスターを手掛けたことにより、アール・ヌーヴォー華やぐ世紀末のパリに一夜にしてその名前が知れ渡りました。以降、サラ・ベルナールの舞台ポスターをはじめ、さまざまな商業広告や雑誌、さらには1900年パリ万国博覧会における国や企業のパヴィリオンの内部装飾にも携わるなど、ミュシャの才能は華々しく開花します。パリで成功を収めたのち、かねてより芸術を通じて祖国に貢献したいと考えていたミュシャは、1910年に生まれ故郷のチェコに戻ります。愛国心、民族愛に溢れた作品を制作し、新生チェコの切手や貨幣のデザインといった公共の仕事を手掛け、最晩年まで精力的に活動を続けました。本展覧会では、チェコの医学博士ズデニェク・チマル氏が祖父母の代より収集したチマル・コレクションを中心に、油彩、水彩、素描、カラーリトグラフによるポスター、装飾パネル、挿絵など160点を展示するもので、そのうち30点以上が日本初公開となります。故国モラヴィアとパリで花開いたミュシャの芸術をお楽しみください。