江戸から現代まで。新潟が育んだ日本画の歴史。
新潟県はこれまで数多くの優れた日本画家たちを生み出してきました。中でも佐渡出身の土田麦倦 (ばくせん)(1887-1936)や高田 (現・上越市) 出身の小林古径 (こけい)(1883-1957)は中央で活躍し、日本近代美術史に大きな足跡を残しています。また吉田町 (現・燕市) 出身の横山操 (みさお)(1920-1973)は、それまでの日本画家たちが描いてこなかった、戦後日本の復興を象徴するような斬新な画題に挑戦し、戦後画壇の風雲児とも呼ばれました。さらに時代をさかのぼってみれば、五十嵐浚明 (いがらししゅんめい)(1700-1781)や行田魁庵 (なめたかいあん)(1812-1874)ら江戸時代に活躍した画家たちの存在も見逃せません。彼らは新潟から江戸、あるいは京へ上って画技を磨いた後、再び郷里に戻って多くの絵を残すとともに、弟子たちを育て、自らの技を次世代へと伝えていきました。現代を見わたしても、こうした日本画の伝統は脈々と受け継がれていますが、一方で日本画に新たな息吹を吹き込み、新しい表現に挑戦する画家たちの姿も見られます。本展では、新潟の日本画の源流から精力的に活躍を続ける現代の画家の作品まで、所蔵品を中心に選りすぐって紹介し、新潟の日本画の流れを振り返ります。