この度、サンリツ服部美術館は茶道具に付属する名物裂 (めいぶつぎれ) をご紹介するコレクション展を開催いたします。約20点の作品に付属する名物裂を前後期合わせておよそ60点公開し、名物裂の歴史とその美に迫る展覧会です。名物裂とは、鎌倉時代から江戸時代初期にかけて日本へ舶載された絹織物のうち、名物の茶道具の袋や掛物の表具として用い、珍重してきたものを指します。
金糸が華やかな文様を表す金襴 (きんらん)、なめらかな光沢が美しい緞子 (どんす)、縞模様が目に楽しい間道 (かんどう)、重厚な文様を持つ錦 (にしき) がその代表で、中国の元・明・清時代のものが中心です。これらの極上の絹織物はその手触りや光沢、色鮮やかな文様で茶人たちを魅了しました。そこで、茶人たちは特別な裂に所有者や付属する名物の茶道具等の名称を冠して名物裂として守り伝えてきました。
今回の展示では、印金 (いんきん)・金襴、緞子、間道、錦、そして木綿の名物裂ともいえる更紗 (さらさ) の5章で構成し、代表的な名物裂をご紹介いたします。
名物裂とは何か。その歴史を探ります。