塔本シスコの生誕100年を記念する作品展を出身地の宇城市不知火美術館で開催します。塔本シスコは、1913年に美術館の直ぐ南の村落、現在の宇城市松橋町東松崎に生まれ、この地で育ちました。結婚後は2人の子供を育てながら熊本市に住み、夫亡き後は長男で画家の賢一が暮らす大阪府枚方市で過ごし、92歳で他界しました。
油絵を始めたのは、熊本にいた53歳の時で、賢一が家に置いていた画材を使い、好きだったスズムシを描きます。帰省した賢一はその素朴で純粋な作品に驚き絶賛。それからのシスコは湧き出るように制作に没頭し、数回の病も克服しながら最晩年まで描き続けました。
作品は、素朴そのもの。しかし、中味は何者にも捉われない自由な造形、きらきら輝く色彩のハーモニー、そして何よりも、描きたくて描きたくてたまらないシスコの心のリズムでいっぱいです。その魅力は喜びとなって見る人の心に飛び込んでくるでしょう。
塔本シスコの作品は今まで多くの美術館で紹介され、高い評価を得てきました。今回は、生まれ故郷で初めての作品展。50歳代の初期から92歳の最晩年までの作品の中から約50点を展示します。テーマは「この喜びは何だろう」。どうぞ、一見しただけで嬉しくなる作品の魅力をご堪能ください。