グラフィックデザイナーとして第一線で活躍中の上野博之氏は、数々のポスター、パッケージ、装幀デザインなどを手がけるかたわら、久泉迪雄氏主宰「綺羅短歌の会」の同人として歌世界に親しまれてきました。
そういた中、2007年頃より、絵と文字、ことばが織りなす美に魅了され、翌年より万葉の世界をモチーフに「うつろふ平仮名」をテーマに作品を創作。平和美術展 (富山) や日米美術交流展のほか、韓国や県内外でも作品を発表されてきました。
グラフィックデザインの持つ自由さ・大胆さ、抽象的幾何学的な中に広がる日本的情緒、文字が命を得て歩き始めたような線描。そのすべてが調和した作風は、モダンな和の魅力にあふれ、<越中万葉のモダニズム>とでも称したくなるような境地です。
本展では、これまで氏が描かれてきた「うつろふ平仮名」シリーズの原画と、国内外のデザイン・ポスター展の受賞作品、富山の自然と文化の魅力を表現したポスターを展示いたします。
越中万葉歌と古代日本人が生み出した仮名文化の<かたち>がとけ合う詩情豊かな作品世界をご覧いただきたいと思います。