没後5年となる藤山貴司 (ふじやま たかし1950-2008) の初の回顧展を開催します。
生前から没後にかけて、連年個展も開催してきましたが、本展は生涯の作品の全貌を追う初めての機会となります。
藤山は、1950年長崎県生まれ。創形美術学校を経てパリ国立美術学校に入学し、サロン・ド・メ入賞の後、フランス国家買上げとなり、その後様々な展覧会に出品、招待の発表を続けます。
1980年代、流木やウレタンなどの幅広い素材を用いた《視つめられる物と触れる者のゆらぎ》シリーズを経て、1990年代には市販のバインダーや木片などのオブジェをコラージュした作品を連作し、やがてパフォーマンスやインスタレーションへと展開します。
1985年以降ドリームランドモノレール大船駅をアトリエとした活動を進め、「オルタナティヴ・アート・スペース・モノレール大船駅」として92年まで共同経営。
1989年以降、白州夏フェスティバルにインスタレーション作品を発表するほか、90年代には、木炭やアクリル絵具、コンテなどを用いた平面作品を制作。世界各国の言語をアルファベットでびっしりと書いた上に、簡略化したかたちでウサギや人体、食器や果実を暗示的に描くなど、普遍性のある世界観を表現します。
また創形美術学校校長として美術教育にも積極的にかかわりました。
本展では、初期から晩年にいたる代表作約50点により、藤山貴司の多彩でスケールの大きな作品を紹介します。