大倉陶園 (横浜市・戸塚区)は、日本の陶磁器メーカーの草分け的存在である日本陶器 (現ノリタケカンパニーリミテド) の創設メンバーであった、大倉孫兵衛・和親父子によって、量産品としてではなく、美術工芸品としての磁器製品づくりを目標として、1919年に創設されました。品質や芸術性の高さを追求した美しい磁器製品は、「セーヴルのブルー、大倉のホワイト」と称賛され、皇室をはじめ、多くの人々に愛されてきました。
大倉陶園のあゆみの中でも、創業の地蒲田を本拠地とし、開窯から終戦までの25年間に製作されたものは、「オールド大倉」と総称され、その品質の高さや稀少性から、大変高く評価されてきました。しかし、こうした初期の製品は、特別注文品や贈答品などが多く、これまで総覧することが叶いませんでした。本展覧会では、個人コレクターの協力を得て、公立美術館として初めて、これらの製品を一堂に展示いたします。美しい磁胎を活かしたデザインのテーブルウェアから、様々な生きものをかたどった陶彫まで、およそ200点の「オールド大倉」を展覧し、初期大倉陶園のあゆみを概観いたします。