三瀬頁之介(みせ なつのすけ、1973-)は、1999年に京都市立芸術大学大学院を修了、その後、出身地である奈良の高校で教鞭をとりながら制作を続け、2007年に五島記念文化財団研修員としてイタリア・フィレンツェに滞在。2009年より山形市にある東北芸術工科大学の准教授を務めています。2009年にVOCA賞を、2012年の第5回日経日本画大賞で選考委員特別賞を受賞するなど、近年、注目と期待を集める画家です。
三瀬のこれまでの作品には、主に和紙、金属箔、墨などの日本画の素材や、技法が用いられています。最小単位のイメージを描いた和紙の断片を次々とつなぎ合わせて大画面を制作する手法が特徴的であり、パネル状の作品についても、時に横方向に幾枚も連結されて大画面が形成されています。
画面の中には、飛行船や住居などの人工物、UFOなど空想的な像、山や木などの自然物など、さまざまなモチーフが自在に盛り込まれています。また、三瀬が住む場所が持つ歴史地理的背景、文化的背景に関する思考や、そこから出発する普遍的な問題意識、あるいは幼少期の記憶などが、作品テーマと深く結びついています。
本展では、「鍾乳洞に入ったよう」と三瀬が感じた当館の展示室を舞台に、「自然」を一つの大きなテーマにすえて、水墨の技法による近作や、自然が作り上げる日本の環境や風土を発想源とする新作など、大作を含む6点を展示します。
特別出品 秋野不矩
人物群像を描いた40代の作品4点と、インドを題材に描いた作品3点の計7点を展示します。