図書館は死者の言葉に満ちています。図書館がしばしば死の空間、あの世の空間として捉えられる理由ですが、もしもそうならば同じように美術館もまた死の空間、あの世の空間ではないでしょうか。事実、作家の多くは美術館に作品が飾られ美術史において永遠に語られることを願っている。とすれば彼らは死の空間、あの世の空間を目ざして画いていることになります。それではいったい死とは何か、永遠とは何か、現在とは何か、そして記憶とは何か。 美術館はほんとうはこのような問いの充満した空間なのではないでしょうか。セゾン現代美術館の膨大なコレクションを媒介にして、三浦雅士氏がこの問題に迫ります。