当館では、2011年よりフランス文学者の鹿島茂氏の膨大な古書コレクションから連続的に展覧会を開催しています。その第1回目は、19世紀フランスを代表する挿絵画家、J.J.グランヴィルを、第2回目は、共にフランス、ナント出身のアール・デコを代表するアーティスト、ジョルジュ・バルビエとジャン=エミール・ラブルールを紹介しました。
第3回にあたる本展では、19世紀から20世紀初頭のアール・デコの時代までに描かれたファッション・プレート(ファッションイラストの版画)を紹介します。併せて、京都服飾文化研究財団の貴重なコレクションより、同時代を代表する華麗な衣裳を展示、それぞれの時代の流行のファッションから、華やかな女性の装いを展覧します。
ファッション・プレートを手掛けたアーティストとして、19世紀ではオーラス・ヴェルネ (Horace Vernet, 1789-1863)、ルイ=マリー・ランテ (Louis-Marie Lanté, 1789-?)、ガヴァルニ (Gavarni, 1804-66) を、20世紀初頭ではアール・デコの時代に活躍したシャルル・マルタン (Charles Martin, 1848-1934)、アンドレ・マルティ (Andoré Marty, 1882-1974)、ジョルジュ・ルパップ (Georges Lepape, 1887-1971) を中心に取り上げます。また、彼らのモード以外の仕事から、フランス史に名を遺した高貴な身分の女性たちの装いや地方の伝統的衣裳、様々な階級、職業別の装いなどの風俗描写、文学作品の豊かな世界観を再現したエレガントな挿絵を通して、フランス近代の熟達したイラストレーションの世界をお楽しみください。