週刊誌「AERA」の表紙など、人物写真 (ポートレイト) の大家として知られる坂田栄一郎。本展では、坂田が16年にわたって真夏の江ノ島で探求し続けてきた“人のいないポートレイト”を中心としたシリーズ「江ノ島」を初公開いたします。“人のいないポートレイト”とは、砂浜に広げられた無人のレジャーシートとその上のさまざまなモノたちをとらえた静物写真 (スティルライフ) です。そのモノたちを通して、そこに写っていない持ち主たちのさまざまな個性、さらにその背後から急速に移り変わる現代日本の姿が浮かび上がってきます。同時に、海遊びに来たところを坂田の求めに応じてカメラの前に立った若者たちの、生命力あふれるポートレイト約10点もあわせ、すべて未発表のカラー写真約40点を展示します。鮮烈なカラーで映し出される真夏のイメージには、写真家・坂田栄一郎の鋭い観察眼と類まれな感性、未来への願いを感じ取ることができます。