写真のカラー印刷が開発途上にあった大正~昭和のはじめにかけて、雑誌を彩り、流行のスタイルと着こなしの工夫を人々に伝えたのは、挿絵画家でした。西洋のモードを貪欲に吸収した彼らの描く、最新流行の衣裳を身に纏った女性像は、まだ洋装が一般的でなかった時代に、貴重なファッション情報としても機能していたのです。
本場パリのアール・デコ・スタイルを伝えた蕗谷虹児、銀座を闊歩するモダン・ガールを描いた高畠華宵、そしてデザイナー、スタイリストとしての才能も開花させた中原淳一。
本展覧会では、挿絵画家たちのファッション・リーダーとしての側面に光を当てたいと思います。
また日本の挿絵画家たちにインスピレーションを与えた、西洋のファッション・イラストレーターの作品も、併せてご紹介いたします。