14世紀末、朝鮮半島に興った朝鮮王朝(李朝)ではさまざまな芸術文化が花開き、王朝文化のみならず民衆の生活にも、家具や絵画、陶磁器など日常の品にいたるまで、趣向を凝らした美しい作が数多く製作されました。
この李朝の美を発見し、日本に広く紹介したのが柳宗悦です。柳宗悦が李朝の美に魅せられた大正期の日本では、李朝の工芸品に眼を向ける人全くいませんでした。しかし柳は、持ち前の文筆力で李朝工芸の美しさを熱心に説き、陶磁器をはじめとした工芸品の収集につとめました。1921年には日本ではじめての李朝の陶磁器展を開催し、その3年後朝鮮民族美術館を設立して、李朝工芸の収集と公開に心血を注いだのです。
本展では、柳宗悦の収集品を所蔵する東京駒場の日本民藝館の所蔵品から陶磁器、木工品、石工芸、金工、民画など130点を展覧いたします。李朝陶磁を代表する《染付秋草文壷》をはじめ、収納用の家具半閉櫃(バンダジ)や、石や真鍮で作られたモダンな形の台所用品などバラエティ豊かな作が出品されます。