昭和60年(1985)、明治・大正・昭和にわたって文筆活動をしていた富田砕花の膨大な資料が芦屋市に寄贈されました。戦災で資料が焼失したとはいえ、大正4年(1915)からの自著や翻訳の原稿、雑誌『改造』(昭和2年)に発表された「芥川君を憶ふ」の原稿、詩人西條八十、元文部大臣森戸辰男、文豪谷崎潤一郎、ジャーナリスト長谷川如是閑らの手紙類があります。雑誌には『明星』・『民衆』・『六甲』・『横顔』などもあります。書籍には文学をはじめとして歴史・社会科学が多く見られます。風のごとく旅から旅へと各地を巡り歩いた富田砕花は、書き込み入りの多くの地図を残しています。
富田砕花生誕100年の平成2年(1990)に目録の第一集「書簡・葉書類」が刊行され、その後10年の歳月をかけて集録された目録を貴重な現有資料と共に展示いたします。