馬頭町広重美術館の所蔵する青木コレクションは、浮世絵師歌川広重の肉筆画、幕末~明治期の浮世絵版画などを中心とするコレクションですが、洋画家川村清雄(1852-1934)の50点以上を数える作品群も重要な核となっています。
川村清雄(1852-1934)は、幕臣の家に生まれ、明治の動乱期を強い信念も持って生き抜いた洋画家です。明治の初期にアメリカ・フランス・イタリアに留学する機会を得た清雄は、欧米の画技を身につけるかたわら、自国の伝統美を再認識し、油彩で日本の画題を描き続けました。
青木コレクションを収集した青木藤作(1870-1946)は、昭和4年(1929)に清雄の画室を訪れるなど、最晩年の清雄と交流を深めたことが明らかとなっています。画家との直接のふれあいを通して収集されたコレクションは、清雄研究にとっても重要な一端を担うものです。この度は、清雄の生誕150周年を記念して、清雄の代表作品とともに、初公開を含む館蔵川村清雄作品および関係資料を一挙公開し、その画業の一端と青木藤作との関わりを紹介してゆきます。