当館の収集方針の一つである「本をめぐるアート」より、今回は雑誌を取り上げます。美術家が自ら制作する“作品としての本”アーティスト・ブックの展開と同様に、1950年代以降、アーティストが直接出版に携わる雑誌が数多く作られるようになります。アーティストや画廊が発行元となり、国を越えて多くの作家が参集し、美術・文学・音楽などがミックスした魅力あふれる雑誌が生まれました。
この展覧会では、未公開の当館コレクションの中から、アメリカ、ベルギー、オランダ、ドイツ、フランス、日本等で発行された約10タイトルを展示します。印刷物やオブジェを収めた封筒を綴じてページ代わりにした雑誌や、バインダー形式の雑誌、レコードやCDの付いた雑誌。また、ページを焦がし、破り、オブジェを貼りつけるといった行為を留め、直接ドローイングがなされた雑誌など。軽易な作りの中にも、見過ごすことの出来ない多様なアーティストの表現を見ることができます。従来の雑誌のイメージとは異なる“アーティスト・マガジン”の一端に触れていただければと思います。