和の雄:北大路魯山人と、洋の雄:パブロ・ピカソが、1954(昭和29)年、フランスで出会っていたのをご存知ですか?魯山人71才、ピカソ73才。生前からすでに一流の芸術家として、世界に名を馳せた両雄は、興味深い人物として互いの個性を認め合ったようです。
今回の企画展では、和と洋とは全く異なる面もある一方で、重なり合う面も多々ある事を示すことにより、新しい発見の喜びを供しています。中心となる作家は、日本の北大路魯山人、フランスのエミール・ガレ、スペインのピカソ。一般に、魯山人は料理、ガレはガラス、ピカソは絵画でそれぞれ高名ですが、陶器という視点から一線に並べて見てみると、また変わった楽しさを見出すことができるでしょう。
一般に“芸術”や“美”という言葉は、日常から隔絶された特殊なものというイメージもありますが、魯山人はこんな言葉を残しています。
「台所とWCをいつ他人に見られても恥ずかしくない家庭を持った人が趣味人というもの」
…生活そのものに手をぬかないことが、すなわち“美”なのです。
生活を高いレベルで楽しもうとする気持ちが創作意欲につながるのです。
この企画展は、ぜひ日常生活の視点から眺めてみてください。「あの茶碗で、食後のお茶を飲んでみたい」「あの花瓶を玄関に飾ってみたい」「あの絵を居間に飾って眺めていたい」…多くの方々にそう思っていただけることを願っております。