日本画家・千住博氏が5年の歳月をかけて挑んだ作品『源氏物語』。全54帖と章立てされていない「輝く日の宮」、「光源氏」、「雲隠」の3帖を加えた全57帖にもおよぶ壮大な平安王朝絵巻。
「千年前も存在したであろう和紙と岩絵の具を駆使して、平安時代の空を今にうつしたかったのです」と語る氏の『源氏物語』は、一貫したテーマとなる“空”の景色が描かれています。そこには一日の移り変わりから四季のうつろい、星空や雨の情景まで、さまざまな空模様が繊細な筆遣いと幽玄な色彩によって表現されています。
また、千住氏の描く本作品は、さまざまに表情を変える雲を人間の心情に置き換え、“空”というテーマのもと、あるがままの自然の姿を描写することによって、源氏物語の世界でくりひろげられる人間ドラマを再現しています。
本展覧会では、千住博氏が描いた『源氏物語』全作品を初めて一堂に会し公開します。1000年の時を超えて甦る、自然景観だけで描いた未だかつてない源氏物語の世界をお楽しみください。