絵本、人形劇、アニメーションなどの分野でよく知られるチェコは、映画ポスターのデザインでも数々の名作を生んできました。それまでの社会主義リアリズムから脱却した1960年代には、カレル・タイスィク、ミラン・グリガル、ズデニェク・ツィーグレルに代表される新世代のグラフィック・アーティストが台頭し、映画作品のエッセンスを巧みに引き出しながら、時に映画を大胆に異化するその創意によって、映画ポスターというジャンルに独自の表現を打ち立てました。
この展覧会では、フィルムセンターと京都国立近代美術館の共催により、プラハの映画ポスター専門ギャラリー《テリー・ポスター》が所蔵する、チェコスロヴァキア時代の1950年代後半から1980年代までに制作された映画ポスター82点を紹介します。1960年代に《チェコ・ヌーヴェル・ヴァーグ》と称されたチェコスロヴァキア映画のほか、ヨーロッパ各国の作品やアメリカ映画、さらには日本映画のポスターにも注目し、映画とグラフィックの出会いから生まれる緊張感と優美さ、そしてユーモアを呈示します。