素材の力と、技術と表現が織り合わされた工芸作品では、その質感や細部に、意外な表情を発見することがあります。遠目には、見えなかった色やかたちが、作品にぐっと近づくことで、生き生きとした姿を現します。ときにはそれが、作品の印象をガラリとかえてしまうことも少なくありません。素材の表情を豊かに伝えるテクスチャーや、精巧な技術に裏打ちされた細部、こんな小さな部分にこそ、作家の表現を支える秘密が潜んでいます。
2013年秋の工芸館の企画展「クローズアップ工芸」は、近現代を代表する作家5名―鈴木長吉 (1848-1919) 、富本憲吉 (1886-1963)、松田権六 (1896-1986)、森口華弘 (1909-2008)、小名木陽一 (1931-) ―を取り上げ、その作品の特色にフォーカスするオムニバスの展覧会です。明治時代から現代にいたるまで、多様な変化を遂げてきたバリエーション豊かな工芸作品で、それぞれの作品の細部に宿る真実に迫ります。
会期中、前期 (9/14-10/20)、後期 (10/22-12/8) で展示替えを予定しています。