山口県と山東省は、1982年に友好協定を締結して以来、様々な分野で交流を深め、2012年で30周年を迎えました。これを記念して、今回の展覧会では、中国の象徴的自然資源である黄河と泰山に育まれてきた、山東省の悠久の歴史・文化を広く紹介します。
古来山東省は、黄河文明の一端を担う大汶口文化 (だいぶんこうぶんか)、山東龍山文化 (さんとうりゅうざんぶんか) といった高度な生産経済社会が発達するなど、華北の先進的地域として繁栄してきました。春秋・戦国時代には日本にも多大な思想的影響を与えた、孔子をはじめとする多くの思想家を輩出しています。また秦の始皇帝以来、歴代の皇帝は泰山 (たいざん)(※1) で封禅 (ほうぜん) の儀礼(※2)を行い、さらには孔子への畏敬の念から多くの宝物を孔家 (こうけ) へ奉納 (ほうのう) してきました。このような泰山は、やがて道教や仏教の信仰対象ともなり、中国の人々の心の支えとなって様々な思想や文化を生み出してきました。
泰山と黄河により育まれた中国文明を代表する文物、さらにはわが国への歴史・文化にも影響を与えてきた数々の作品で、山東省の悠久の歴史・文化をご堪能ください。 (※1)泰山:高さ1,545m(最高峰は玉皇頂)。世界遺産(複合遺産) (※2)封禅:封と禅に分かれた2つの儀式の総称。封は天に対する謝意。禅は地に対する謝意。