日本人は、いにしえより、めぐりゆく四季の美を愛でてきました。春の桜、初夏の新緑、秋の紅葉、冬の雪景色など、とりどりに色づく自然に美しさを感じる心は、今も昔も変わりません。こうした自然の美しさを絵に、あるいは、着物や器のなかに表現し、「装い」や「しつらえ」として生活のなかに取り入れることは、日本文化の特徴の一つと言えるでしょう。
本展では、こうした四季の美をテーマに、当館所蔵品から選りすぐった作品を、春夏秋冬に分けて展示します。豊かな色彩美をほこる志村ふくみの紬織を中心に、壮大な自然風景を描いた山元春挙、野添平米や岸竹堂など、近代絵画の巨匠たちによる掛軸、屏風、額の作品と、自然の美を陶芸に取りいれた清水卯一、竹工芸で知られる杉田静山の作品なども合わせて展示します。時代を超えて、また、絵画・工芸の枠組みを超えて響きあう、巨匠たちの美の共演をお楽しみいただく展覧会です。