熊本市現代美術館では、2012年に没した熊本ゆかりの洋画家・三浦洋一の作品を収蔵品の中からご紹介いたします。1916年、鹿本郡三岳村津留(現・山鹿市)に生まれた三浦は、九州医学専門学校在学中に油彩画を描き始めます。1940年に熊本医科大学に入局後は、いったん制作を中断しますが、同大学を34歳で退官後、制作を本格的に再開します。
親交のあった坂本善三を中心に「四元会」を発足させて研鑽を積み、1952年の第20回独立展に入選。その後、1958年に熊日総合美術展で熊日賞、1962年には、第30回独立展で独立賞を受賞しています。
本展では、坂本善三、海老原喜之助らに指導を仰ぐ中で表現を確立した火山などをモチーフとした初期作品、そして、70年代半ばから80年代に多く描かれた平面の上に還元する「青のシリーズ」や、またその後、青から離れて新たな色彩表現を追求していった時代の作品まで約10点を展示します。
熊本の文化振興にも長く尽力し、戦後の熊本の美術を見つめ、牽引してきた三浦の画業をどうぞご覧いただければ幸いです。 [熊本市現代美術館主任学芸員・坂本顕子]