芹沢銈介の代表作には、地方の風景や手仕事、働く人々に取材したものが数多くあります。芹沢は旅に出るとき常に手帳を携帯しており、旅先で出会う風景や人々を克明にスケッチ帖に写し取りました。帰宅後、それらのスケッチが模様となり、着物や屏風などに染められたのです。したがって、芹沢にとって旅に出るということは、新しい模様を得ることでもあったといえます。
また、自らの心にかなう工芸品を手に入れることも大きな楽しみであり、旅先を精力的に歩き回り、国内外の染織品、陶磁器、木工品、面や玩具などを蒐集しました。
「旅」をキーワードに、地方の風物に取材した数々の作品と、国内外の旅先で得た蒐集品で構成し、芹沢銈介の制作と蒐集への情熱をご覧いただきます。