雄大にして永遠なる『富士山』と、美しくもはかない『さくら』。
日本人に愛されてきた二つのシンボル。
日本の精神風土の根幹である両極の美を日本画を中心に展示します。
富士山は奈良時代の役小角(えんのおづぬ)伝承や、平安時代の『竹取物語』、あるいは『伊勢物語』などでも取り上げられ、神秘な霊峰として崇拝されてきました。
また中世以後には美術作品も散見されるようになります。
桜は古代の佐保比売(さほひめ)など春を呼ぶ花として盛んに歌に詠まれ、近世以後は絵画作品も多くなるとともに、わが国独特の自然観と溶け合って大きなジャンルのひとつとなってきます。
この展覧会では、古より描かれ続けた富士山と桜に焦点をあて、時代を閲しつつも、不変の美を見出し続けたわが国の美意識の根幹にせまります。