徳川家康の生誕地として名高い岡崎城は、15世紀半ば西郷頼嗣(よりつぐ)稠頼(つぎより)による築城以後、激しい時代の流れのなかで松平氏、今川氏、徳川氏、田中氏など多くの武将の支配をうけ、江戸時代には本多氏、水野氏、松平氏など徳川家の譜代大名が藩主を務める岡崎藩五万石の藩政の中心として、その姿は様々な変遷を経てきました。城絵図はこうした城郭の変遷を知る上で貴重な史料であり、岡崎市では長年にわたりその収集に務めています。
また、岡崎城内では昭和55年・平成6年に二の丸跡、平成7年に天守閣西側、平成6~7・12~13年に菅生曲輪(すごうぐるわ)跡、平成12年に辰巳櫓(たつみやぐら)跡にて相次いで発掘調査が行われ、塀の基礎と思われる石組列や屋敷を区画する溝、堀、石垣、土橋、建物の柱跡、石組・瓦組の井戸等の往時の岡崎城の姿を物語る遺構が確認されました。またこれらの遺構からは家紋入りの瓦や食生活・灯明(とうみょう)・化粧・信仰・趣味等に用いられた瀬戸・美濃の陶磁器、肥前系磁器、土師器、漆器、金属製品、銭など城内に暮らした人々の生活様式を探る上で貴重な手がかりとなる数多くの資料が出土しました。
今回の展示では、江戸時代初期からの城絵図と近年行われた岡崎城発掘調査の成果をもとに、江戸時代における城郭の変遷と当時城内に暮らした人々の生活様式を紹介します。