中国・朝鮮・日本には、吉祥の美術と呼ばれる作品が数多くあります。そこには、豊かな生活や子孫繁栄をはじめとする現実の幸福や、自然と共生する理想社会への憧れなど、実に様々な願いや夢が込められています。こうした人々の願いや夢が、空想上の宝物や霊獣、現実の小禽獣や花果、子供達等に託されて、吉祥の美術が誕生したのです。
本展では、この吉祥を表現した館蔵の絵画・工芸作品から富貴を象徴する艶やかな花や果物、未来を担う可愛い子供達や生命の躍動を感じさせる小禽獣をモチーフにしたものを一堂に集めて紹介いたします。
中国、朝鮮、日本で、連綿と作られ続けてきた吉祥の作品たち。美しく可愛いものに、幸福への願いや夢を託すのは、今も昔も変わらぬ人々の普遍的な心情であったことを、これらの作品達は語ってくれています。様々な人々の広範な願いが込められた本展の展示作品は、現在の私たちにもきっと幸せをもたらしてくれることでしょう。