北海道が育んだ、戦後日本を代表する具象彫刻家のすべてがここに
あるがままの日本人の顔、無邪気なしぐさの愛らしい子ども、帽子やジーンズを身につけたさわやかな女性像。佐藤忠良の彫刻は、リアリズムを基本としながら、常に深いヒューマニズムに根ざし、人間の本質を見つめようとする姿勢が息づいています。その気品と生命感あふれる作品は、多くの人に愛されるとともに、戦後日本の具象彫刻を牽引するものでもありました。
本展は、彼の生誕100年を機に、創作活動のすべてを多角的に振り返ろうとするものであり、2011年3月に98年の生涯を閉じて初めての札幌での大規模な展覧会となります。代表作を網羅する彫刻約70点をはじめ、画家を志していた18歳頃の油彩画、『おおきなかぶ』などの絵本原画や雑誌の表紙絵、編集に携わった教科書、依頼制作によるトロフィーやメダル、晩年に日記のように描いた老木の瘤や幹の素描など、宮城県美術館が所蔵する作品や資料を中心に約270点を展示します。また、7歳から20歳までを過ごし、第二の故郷として愛着を持っていた北海道との関わりを、映像や資料、野外彫刻のエスキースなどを通じて浮き彫りにすることも試みます。北海道が育んだ佐藤忠良の世界を心ゆくまでご堪能ください。