東京画廊+BTAPでは、1月26日(土)より「関根美夫―身体から記号へ」展を開催致します。関根は具体美術協会の初期の結成メンバーです。本展では、関根が初期に制作した抽象絵画と、後期の算盤を主題とした絵画を合わせて展示致します。
現在、欧米を中心に戦後の日本前衛美術が高い関心を集めています。なかでも具体美術協会は、来年グッゲンハイム美術館(ニューヨーク)での大回顧展『具体:素晴らしい遊び場』が予定されているなど、いまや日本の現代美術を代表する動向として位置付けられています。
第二次世界大戦を発端として、世界は急速に一元化しました。世界市場を流通する通貨に知性は凌駕されてゆきます。一方、多くのアーティストは表現の拠り所を自身の肉体に求め、身体性を転写した制作活動が世界で同時多発的に発生します。具体はその象徴的な出来事です。しかし、やがてマスメディアが人間の身体までも記号化する時代がやってきます。具体の芸術活動は、そのような消費社会に生きる現代人の、肉体を巡る試行錯誤の軌跡として読み解くことができます。
関根美夫は、通貨そのものでなく算盤という道具を描くことで、高度経済成長を生きた日本人の意識と行為の残像を表しています。関根の作品を今展示することは、情報と通貨と広告によって矮小化された身体性を意識し、再考する機会となるはずです。皆様のご来場を心よりお待ち申し上げております。