柳澤紀子は、浜松市出身のアーティストで、現在掛川市にアトリエを構え、創作活動を行っています。また、ルーマニアやイスラエルの美術館で個展を開催、講演やワークショップを精力的に行うなど、活動の場は日本国内にとどまらず海外にも広がっています。
その表現は、「水邊の庭(スイヘンノニハ)」の連作に代表されるように、ビビッドな色彩と大胆な主題の単純化に大きな特徴があります。ギリシア神話を想起させる翼、時の移ろいと共にただよう舟、自然との交歓をあらわす樹木や水などの断片によって構成される作品は、詩的な静けさと現実のはかなさを感じさせ、日本国内だけでなく、海外でも高い評価を得ています。
本展は、浜松市美術館と公益財団法人平野美術館の2会場で同時開催し、現代の人間・身体の在り様を問いかける個性的で深淵な作品群を紹介します。版による表現にとどまらず、様々な技法を駆使した作品世界を鑑賞していただく機会としたいと考えています。