2月2日より、ジョーン・ジョナスの新作展を開催します。当ギャラリーでの4回目の個展となる今回は、ビデオ、ドローイング、彫刻を組み合わせた最新インスタレーション作品《リアニメーション》を展示します。
1936年ニューヨーク生まれのジョーン・ジョナスは、マウント・ホリヨーク大学で学んだ後、コロンビア大学で彫刻を学びました。
1960~70年代にかけ、ダンスやパフォーマンスの実験的なムーブメントに関わり、イヴォンヌ・レイナー、シモーネ・フォルティ、リチャード・セラ、ロバート・スミッソン、フィリップ・グラスらとともに活動しました。屋内、屋外にかかわらず、さまざまな場所でインスタレーション等の作品展示やパフォーマンスをおこなうアーティストであり、表現手段も実にさまざまです。モニターやプロジェクターを使ってときに映像を重ね合わせたり、スタジオでドローイングを描くこともあれば、パフォーマンスの最中に描くこともあります。パフォーマンスそのものを写真におさめたり、映像化する場合もあります。さらに、そのように幅広い手段を通しておこなう彼女の表現の源泉となっている素材もまた広範囲にわたります。たとえばアイスランドの民間伝承(《火山のサーガ》1985-1989)、アメリカの詩人H.D.、ギリシャ神話(《砂の上の線》2002)、アビ・ヴァールブルク(《物の形、香りと手触り》2005)などから着想し、独自の視覚言語を織り上げています。
アイスランドの小説家ハルドール・ラクスネスが1968年に発表した小説「極北の秘境」に想を得た今回の作品《リアニメーション》は、2010年秋にマサチューセッツ工科大学でおこなわれたパフォーマンスのビデオを元に構成されています。このパフォーマンスでは《ダンテを読む》(横浜トリエンナーレ2008で上演)のために生み出されたライブカメラのアニメーションのテクニックをもちいて《Disturbances》(1973)や《メランコリア》(2005)といった彼女の初期のビデオを重ね合わせており、さらにさまざまなオブジェ、イメージ、言葉のコラージュによって構成されています。
2012年、ドイツのカッセルで開催されたドクメンタ13に参加したジョーン・ジョナスは、カールスアウエ公園の緑の中に小屋を建て、今回の最新作と同じ《リアニメーション》というタイトルを冠して、窓からのぞきこむインスタレーション作品として展示しました。そしてジャズピアニストのジェイソン・モランによるライブ音楽、そして北極圏で撮影された新作ビデオ《グレイシャー》を織り込みながら、パフォーマンスを演じました。
今回、ワコウ・ワークス・オブ・アートでご覧いただく《リアニメーション》は、画廊の展示空間をドクメンタで展示した小屋の内部に見立て、内側から作品を鑑賞できるようにした最新インスタレーションです。この機会にぜひご高覧下さい。
また、今展にあわせ《リアニメーション》について作家が綴ったショート・エッセイのパンフレットを制作します。