國領經郎氏(横浜市出身 日本芸術院会員1919~1999)は、「砂の風景」をライフ・ワークとし数多くの作品を描いた洋画家として広く知られています。
1954年頃からの点描技法では、近代的な船や鉄塔、工場などをモティーフとし、厳しいフォルムの追及と周到な画面構成の実験を試みます。1970年代に入ると、氏が「むきだしの自然」と語った広大な砂丘を舞台に、反復するポーズや同じ顔の若者たちが画面に登場し、人間の二面性と若者の孤独感を表現し、精神性の高い絵画世界を作り上げました。近くて遠い地平線、どこまでも続く砂の風景は、時空を超えて私たちを詩情溢れる神秘的な空間へと誘います。
平成13年には、酒田市に代表作を含む貴重な作品13点を寄贈されましたが、本展では平成24年に新たに寄贈された作品39点を加えた52点を展示し、生涯にわたり制作された國領氏の孤高で魅惑的な絵画世界を一堂に紹介します。