持ってさわってひっくりかえして確かめる。私たちは気になるモノがあると、つい手を伸ばしたくなります。それは、かたちや素材を実感したり、モノとの距離や空間を確認したりできるから?それともさわり心地が自分のなかにある記憶や感覚と結びつくことで安心するから?でも美術館では作品保護のために、たいてい「さわらないでください」とお願いしています。
鑑賞者は、集中して見ることで作品にまつわるさまざまな情報をとらえようとします。でも、その時おこなっているのは「見る」ことだけでしょうか。
今回は所蔵作品から、とくに触覚を想起させる作品を展示します。さわりたくて手がむずむずするような作品を前にした時、身体の内に生じる様々な感覚に意識を傾けることで、美術を「視る」「識る」ことへの新たな理解につなげていただきたいと思います。