「一富士二鷹三茄子(いちふじにたかさんなすび)」と縁起の良い新年の初夢にもあげられている富士山は、日本を象徴する山として世界的にも知られています。日本人にとってなじみが深い富士山は、これまで数多くの作品に描かれてきました。一方、誰もが知っている名所を描くことは、画家にとって難しい画題と言われています。
「富士山は安易にモティーフを求める軽率な画家に絵を描かせないのだ」(平松礼二『花伝書』より)。平松画伯もまた若いころ、富士山を描くことを断念した画家の一人でした。時を経て、ジャポニスム(外国人の眼)を通じて日本の様式美を再認識した画伯は、「日本文化に流れる「かざり」の面白さと魅力に引きずり込まれて」装飾的な傾向の作品を描くようになります。その中で日本の象徴としての富士山にあらためて向き合うことになったのです。
新春にふさわしく華やかに彩られた富士山をご覧ください。