青銅は、銅に錫を加えることで生まれる合金で、古今東西の金属鋳造において常に主役を果たしてきました。なかでも東南アジアでは古来、青銅の特長を最大限に活かした高度な鋳造技術が育まれました。
そうした東南アジア青銅美術の魅力を、東南アジア美術研究家・山村道生氏の全面的な協力のもと、国内外の個人収集家の所蔵品により紹介します。アンコール朝時代の宗教彫刻を中心に、タイ、ラオス、ミャンマーの仏像、先史に花開いたドンソン、バンチェンなどの祭器、その他インドシナ各地の装飾品や器物等、約200点を展示します(会期中展示替えあり)。
時を重ねた青銅製品の多くは、「緑青(ろくしょう)」と呼ばれる独特のサビ色に覆われています。読んで字のごとく、緑と青を基調とした新たな装いに身を包み、なおも造形の素晴らしさを湛える青銅美術の魅力をお愉しみ下さい。