「萩焼」の重要無形文化財保持者、三輪壽雪氏(じゅせつ、十一代休雪、本名・節夫 1910年~)の代表作と、壽雪氏の長男、当代休雪氏(きゅうせつ、本名・龍作 1940年~)の代表作を、山口県立萩美術館・浦上記念館のコレクションを中心にご覧いただきます。
三輪家は長州藩の御用窯として江戸時代前期から続いてきた萩焼の名門陶家です。歴代休雪の名を継承し、萩焼の伝統技法を現代に伝えてきました。
壽雪氏は茶陶を制作の中心に据え、三輪家の伝統の上に独自の個性を表出させた造形を追求しています。ことに近年の荒々しい肌をもつ鬼萩手の茶碗は圧倒的な存在感をあらわし、豪快な割高台の造形とともに作者の境地を象徴しています。
一方、十二代休雪氏は、萩焼の手法による彫刻的な作品を制作し、自身の内的世界を表現してきました。「愛(エロス)」と「死(タナトス)」という本質的なテーマを自らのライフストーリーと重ね合わせて造形化した作品は、具象的で具体性に富み、見る者に分かりやすく強烈な印象を与え、ときにそこはかとなく漂うユーモアは明るさと爽快感をもたらします。
本展では壽雪氏の造形を7点に代表させ、十二代休雪氏については「ハイヒール」や「LOVE」などの初期の作品から近作の「龍人伝説」にいたるまでの38点を選びました。作陶への揺るぎない信念から生まれた父子二代の「破格の創造」をどうぞご鑑賞ください。