1950年代から60年代にかけての福岡では、前衛美術集団「九州派」が活動したことが知られています。しかし、70年代になって次世代の作家たちが新たな活動を模索し始めたことで、福岡の美術状況が40年後の現在につながる重要な段階に入っていったことは見落とされがちです。本展では、「九州派」以後の停滞した美術状況を打破すべく活動を開始した70年代に活動を始めた作家から、現代につながる新たな動向を代表する作家まで、85作家の作品約130点を展観します。
この30年間の福岡現代美術は、地方都市である福岡に、美術の「状況」を作るべく、福岡の作家同士、あるいは他都市(他国)の作家と福岡の作家が、「交流」しあってきた結果ということができます。それゆえ、福岡で活躍した作家の代表作を出品するだけでなく、彼らに大きな影響を与えたと思われる他地域の作家の作品も加え、さらに実験映画の上映など、多角的な構成や展示を試みます。
本展は福岡県立美術館、福岡市美術館が企画段階から連携し、2館同時開催を行う初の共同企画展です。福岡市内の比較的近い距離に位置し、異なる歴史やコレクションをもつ2つの公立美術館が、それぞれの長年にわたる研究成果を持ち寄り共同作業を行うことは、福岡のアートシーンにおいて画期的なことです。
福岡を拠点とし、福岡で発表した美術家たちの表現の変遷をたどり直すことで、福岡県内における現代美術の系譜を美術史的な文脈で再検証します。