目まぐるしく移り変わる流行、それを支えるファストファッションの隆盛が顕著ないま、衣服の意味を問い直し、一貫したコンセプトでファッションを提案し続けるクリエイターを紹介するシリーズ「フィロソフィカル・ファッション」。
その第一弾として、ファッションデザイナー津村耕佑によるプロジェクト「FINAL HOME」を取り上げます。
「家をなくしてしまったとき、人を最後にプロテクトするのは服になる」
このコンセプトをもとに生まれたナイロンコートは、「究極の家」を意味する「FINAL HOME」と名付けられました。
コートに備えられた多数のポケットに、新聞紙を詰めれば防寒着に、非常用グッズを入れれば避難着になります。
1994年の「FINAL HOME」誕生から現在までに、日本は、阪神・淡路大震災、東日本大震災という未曾有の災害に見舞われました。そして津村はファッションデザイナーとしての使命を軸に、ファッションと社会や環境との関係性を考察し続けてきました。本展では、「FINAL HOME」の活動を通して、「衣服」そして「ファッション」の役割について考えます。