このたび、現代美人画における第一人者、鶴田一郎の展覧会を開催する運びとなりました。
熊本に生まれ多摩美術大学へ進んだ彼は、卓越した技術と様々な画風を携えたイラストレーターとして活躍。
しかし仏教美術、琳派、浮世絵など日本人独自の美意識にこだわりを持つようになり、「画家として」のアイデンティティやオリジナル性を模索。シンプルでありながら装飾性があり、西洋的でありながら弥勒菩薩のような美が香り立つ画風、これらを苦悩の中から徐々に確立していきます。
やがて日本を代表するグラフィックデザイナーの亀倉雄策が彼に着目し、ノエビア化粧品のCMへ起用。
このアルカイックスマイルとも言える神秘的な表情を共通点とした、あまりに美しい女性像を描いた作品は多くの人々を魅了し、一世を風靡、彼の名前を一躍有名にしました。
アールヌーヴォーやアールデコのような西洋的要素、鶴田自身の中で醸成された日本的美意識、これらが見事に融合された絵画世界は、今や“鶴田様式”“鶴田流琳派”とも言えるかもしれません。
馥郁たる女性美の数々、そしてその変遷。じっくりと時間をかけてお楽しみいただければ幸いです。