戦後美術の新たな展開を切り拓いた「実験工房」の全貌を、約400点の作品・関連資料を通じて展観する、公立美術館では初の展覧会。
美術家と音楽家によって結成され、戦後美術の新たな展開を切り拓いたグループ「実験工房」(Experimental Workshop 1951-1957 頃)の全貌を紹介する、公立館としては初めての展覧会です。「実験工房」には次のような多彩なメンバーが名を連ねました。[造形]大辻清司、北代省三、駒井哲郎、福島秀子、山口勝弘、[音楽]佐藤慶次郎、鈴木博義、園田高弘、武満徹、福島和夫、湯浅譲二、[詩・評論]秋山邦晴、[照明]今井直次、[技術]山崎英夫(五十音順)。次世代の美術、音楽をリードしたメンバーにとって、「実験工房」は創作の原点として重要な役割を果たしました。
グループの命名者である美術評論家・詩人の瀧口修造らの支持を受け、「実験工房」はダンス、演劇、映画といった多岐にわたるジャンルヘ活動を展開しました。正式な解散はしていませんが、グループとしての活動がおおむね終了する1957年頃までの間、多くの先駆的な作品を残しています。
本展では、彼らの幅広い活動の軌跡を、絵画、立体、映像、写真のほか、楽譜や公演プログラムなど関連資料約400点の展示を通して、その活動の全振幅を検証し、近年にとみに高まりつつある再評価にさらに確かな足がかりを提供したいと思います。
1940年代後半から1960年代の造形作家の代表作に加え、自転車のPR用に制作された映画『銀輪』(監督:松本俊夫、音楽:武満徹、美術:北代省三、山口勝弘)や近年発見された未公開映像資料の上映を行います。また、メンバー合作の「オート・スライド」(1953年)のうち、フィルムの失われた映像の再現を試みます。
ジャンルを横断したグループの特質を多角的に捉えなおすため、絵画、写真、音楽など各分野の専門家による講演会やダンス・パフォーマンスのイベント等を開催する予定です。