江戸時代初期の名君として名高い池田光政が、寛永9年(1632)に岡山藩主となって以来、池田家は約235年の長きにわたって藩主として藩政を担いました。そして迎えた幕末の動乱期、各藩は幕府方につくか、あるいは新政府につくかをめぐって、難しい舵取りを迫られます。この難局にあたり、岡山藩では第8代藩主池田慶政(1823~1893)、9代茂政(1839~1899)、そして10代章政(1836~1903)の三人が、それぞれの立場で難しい判断を迫られながらも新政府方につくことになり、無事に明治維新を迎えることになります。
本展では、初公開となる文久3年(1863)5月15日に一橋(徳川)慶喜が池田茂政・同余四麻呂に宛てた書状や、慶応4年(1868)に岡山藩が新政府から与えられた錦御旗(にしきのみはた)などから、岡山藩の活躍を振り返るとともに、三人の藩主にまつわる書画・工芸品や所用の品々を展示し、幕末から明治維新以後の藩主の実像に迫ります。
また現在、当館と岡山大学附属図書館池田家文庫に別れて収蔵されている池田家の文化財は、明治維新以降、池田家で所蔵する文化財を大きく什器(調度品)と記録(藩政資料)とに分類し、管理したことにその起源があります。池田家が行ってきたこれらの活動を確認しながら、文化財を守り伝えることの意義を改めて考えてみたいと思います。