大坂弘道(1937年生)は1997年、重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された木工芸作家です。練馬区内の中学校で教員を務めながら研鑚を積み、やがて正倉院宝物の模造を委嘱され、宮内庁に納めるに至ります。
大坂の作品は王朝風のクラシカルなスタイルを守りながらも、透かし彫りや金属象嵌など新しい技術や復元した技法を駆使して、これまでの木工芸の枠にはまらない精緻かつ多彩な大坂独自の世界を展開しています。
2003年を境に大坂は作品を公開しておらず、近作の約20点は未知の領域ともいえる作品群です。その初公開と目を見張る変貌ぶりも本展の見どころの一つです。
40年に渡る制作活動から生み出された作品の大半にあたる、45点が当館に寄託されたことを記念して、約60点で大坂の作品の全貌を紹介するものです。