柴田是真(1807~1891)は、幕末から明治時代に活躍した蒔絵師であり、絵師です。従来の蒔絵師とは異なり、下絵から蒔絵までの全工程を手がけることで、「五節句蒔絵手箱」(ごせっくまきえてばこ)(サントリー美術館蔵)や「烏鷺蒔絵菓子器」(うろまきえかしき)(東京国立博物館蔵)に代表される洒脱な作品を生みだす一方、絵画、さらには紙に漆で絵を描く「漆絵」を手がけ、絵画・工芸の枠組みを超えた活動を展開しました。明治時代、国の委嘱をうけた是真は、万国博覧会に出品し、ZESHINの名は一躍世界的に知られるようになります。
近年、海外で収集されたコレクションが紹介されている是真ですが、本展覧会は、約30年ぶりに、国内の優れた作品約120点を一堂に展示いたします。この機会に、近代的な工芸家の嚆矢となった是真の仕事の全貌をご覧ください。