20世紀最大の画家の一人であるマルク・シャガールが1985年に97歳で他界して以来、すでに15年余りが過ぎましたが、世界各地での展覧会では止む気配なく開催され続け、ますます多くの人々を魅了しています。
今回の展覧会では、敬虔な宗教世界を表現する「聖書」、華麗な色彩で愛と夢の人生を歌う「ダフニスとクロエー」、「サーカス」、「ポエム」、「オデュッセイアー」などの代表的な連作版画の全作品を出品し、版画家としても優れていたシャガールがつづる“美と詩の世界”を展観します。
さらに版画と関連する内容をもつ油彩画を展示します。濃厚とも見える油彩の色彩、やや清澄にかたむく版画の色彩、その響きあいを通じて、シャガールの色彩の豊かさ、微妙さを紹介します。そしてシャガールの芸術が、彩られた想いや感情を伝える不思議な力をもつことを感じ取っていただきたいと存じます。