昭和初期から2001年に他界するまで変わらず創造精神を発揮し続けた美術作家、斎藤義重が晩年に独自の教育理念を具現化させたのが東京芸術専門学校(Tokyo School of Art = TSA)でした。その卒業生有志が1998年以来ほぼ毎年開催するグループ展が、「表現される現在」です。
2009年からは題名に「ゼロイスト」が加わりました。これは1950年の斎藤義重作品題名からいただき、恩師へのオマージュを表するとともに、常に自らの表現のゼロ地点に回帰しつつ、また旅立つということを意味しています。
前回2011年の「ゼロイスト3.11」では「3.11のもたらした世界で、ゼロイストであるということ」をテーマとしました。今回はその問題意識の延長上に、いまここにある危機の意味を問い直すためのキーワードとして「第二の戦中」「第二の戦後」を掲げました。先の敗戦以来の最大の破局とも言える事態のあと、私たちは「戦後」を生きているのか、あるいは、いまこそまさに「戦中」なのか。この状況について考えぬくことが、表現者に課せられた課題であると思います。各々のいま現在の発信を、どうかご高覧ください。
(TSA ANNUAL 2012実行委員会)