佐野はるかさんは多才な技術と表現力で、異なる印象の作品を幅広く制作しています。
植物が生えた蓋物などの具象的なフォルムに対して、オブジェや花器などの抽象的なフォルム。
土を貼付けたり彫ったりと加飾の多い作品に対して、土の質感や色合いを生かしたシンプルな作品。
縄文土器に魅せられて生まれた多色使いの器に対して、あえて色を押さえた器。
今までにサボア・ヴィーブルで開催した個展を振り返っても、バラエティー豊かな作品の数々が思い浮かびます。
それらは一様に、考え抜かれたフォルムと装飾、そして質感と重さまでも手を抜かない工芸作家としての自負が感じられます。
同時に、アーティストとしての表現力と存在感も備わっています。
「とても悩んでいます。こんなときはなるべく頭で考えないように、、、。楽しいと思えることを優先して、嫌だと思ったら止めるようにしました(笑)」と。
模刻をたくさんしたことで、形が持っている法則や有機的なラインを再現できるデッサンの力、
表現者としての自分を、常に律しようとするアーティストの心、
その両方を合わせ持っている佐野はるかさん。
“今の佐野さんは、こんな事がしたいんだな~~”と再認識できそうな、今回の展覧会です。