明治初期の洋画家たちは江戸時代後期から明治にかけて日本に流入してきた西洋絵画の迫真的な表現技法に魅了され、その技法を身につけようと試行錯誤を繰り返しました。
この時期、岡山県からも渡辺文三郎や松岡寿など、重要な役割を果たした画家が数多く出ています。その要因として、幕府が西洋研究のため設置した蕃書調所の教授に津山藩の箕作阮甫(みつくりげんぽ)が就任し、備中足守藩からは適塾を開いた緒方洪庵が出るなど、岡山では江戸時代から洋学研究が盛んであった文化的背景があげられます。
この展覧会では山岡孫吉氏(ヤンマーディーゼルの創業者)が収集した、日本近代洋画史上貴重な作品からなる山岡コレクションを中心に、「洋風表現の試み」「近代洋画の父 高橋由一」「ワーグマンとビゴー」「初期の洋画教育」「女性画家の活躍」「明治美術会と白馬会」のパートに分けて作品を紹介します。これに加えて倉敷市立美術館のコレクションから、洋画の形成期にかかわった堀和平や平木政次らの作品をはじめ、明治美術会や太平洋画会で活躍した鹿子木孟郎や満谷国四郎などの作品を合わせて展示し、岡山出身の画家たちが近代洋画の形成にどのようにかかわったかをあらためて検証します。
風土、歴史、文化の大きく異なる西洋と日本との間で苦闘し、道を切り開いてきた近代洋画創成期における画家たちの足跡をご覧ください。