藤森成吉(1892~1977)は、長野県諏訪郡上諏訪町に生まれました。東京帝国大学在学中に自費出版した『波』(のち「若き日の悩み」と改題)で新進作家として注目を集め、以後当時の流行語ともなった戯曲「何が彼女をそうさせたか」や、長編小説「渡辺崋山」などを発表しました。また社会主義文学運動に積極的に参加し、全日本無産者芸術連盟(ナップ)設立時には初代委員長に推されます。戦後は新日本文学会をはじめ多くの文化団体の創設、運営に携わりました。1948年から終生逗子に住んだ神奈川にゆかりの深い作家です。
当館では1984年から2001年にかけて、ご遺族から成吉の自筆資料、図書雑誌を含め約3,000点を受贈し、<藤森成吉文庫>として一括保存しています。本展ではこれらの資料をもとに藤森成吉の84年の生涯と文学、社会的活動の軌跡を紹介します。*本展は「近代文学と神奈川2 大正の文学」と同時開催しております。